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九州発! 日本中が楽しくなるWEB文芸誌。美術館・博物館のイベント情報、気になる本や本屋さん、読みたい物語がきっと見付かります

本と一緒に“ワクワク街道”をゆこう

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ワクワクして生きていいって言ったら、どうする?

 
 
 時折、大分に行く。
 古書店「カモシカ書店」に寄って、本を選び、店主と話し、美味しいお茶をしたり、する。
 
 熊本と大分は、200kmほどは、離れている。間に世界一のカルデラを誇る阿蘇を挟んでいるから、山越えである。
 よくそんな遠くから来ますね。
 遠くからわざわざ!
 そう言って驚かれることはとても多い。
 東京にもよく行く。
 1,200kmも、離れている。
 東京に住んでるのかと思っていました!
 そう言って、目を丸くしたり呆れたりするひとたちにも、とてもよく出会う。
 
 別に暇なわけではない。
 とりたててお金持ちであったりも、しない。
 ただ、自分が好きなこと、面白いことにいつも出会っていたいだけである。そのための努力くらいは、惜しまない。
 
 そんな風にして、大分で、チャーミングな双子に出会った。
 「あーすじぷしー
 
06-03
 
 大分在住の双子の女の子たちだ。
 とてもよく似ていて、本当に良く似ていて、でもまったく違うふたりの話は、ふわふわと可愛らしく、しかし確信に満ちていた。
 彼女たちのことは、たぶん、書籍【EARTH GYPSY あーす・じぷしー】を読んだほうがよくわかる。
 学校に通ったり、勤め人をしながら、どんどん息苦しくなってしまった彼女たちは、小さな頃、自分たちが二人だけでどこまでもいけてワクワクして、いつだって楽しかったことを不意に思い出し、二人で“旅”に出るのである。
 その決定的な瞬間に飛び出したのが、冒頭にひいた言葉だ。
 
ワクワクして生きていいって言ったら、どうする?
 
 じぶんたちは、ワクワクして生きていいんだ、という、一番だいじなものを彼女たちが見つけ出してきた瞬間なのだ、と思う。
 だって食べていかなきゃいけないから。だってそうなっているから。だって自分には何も出来ないから。
 もちろん、そうだ。
 だけど。
 ほかにもあっていい。好きなことをやっていい。好きなことがわからなければ、探しにいけばいい。
 
 なほまほちゃんって呼べばいいですよ、と「双子だと道で会ったときにどっちか悩むね」と言った加地に茶目っ気たっぷりに答えた“なほまほ”ちゃんは、彼女たちの本を読んでくれたひとが「号泣しました」「元気になりました」と言ってくれるのがとても嬉しいのだと笑った。
 そうだろうな、と思う。
 彼女たちの言葉を聞いて、あるいは読んで、それがとてもとても響いて、どうしようもなく響いて困ってしまうくらいに必要なひとたちは、必ずいる。
 “なほまほ”ちゃんの本は、必要なのだ。ほかの誰に必要がなくとも、それを読んで世界が変わる、本というのは誰かにとっては、それくらいの存在だ。
 
 伽鹿舎は、身の回りの好きな本屋がどんどんなくなっていくことや、欲しいと思える本よりそうでない本が溢れかえっていってしまっている現状や、そうせざるを得なくなってしまった版元や、そういう全部をひっくるめて、大好きな本の世界が歪になっていくことをどうにかしたくて、始めた。
 もっとワクワクするだけの、自分が面白いと思うものを守るための、そういう出版社があったっていいじゃないか。社員が食べていくためでなく、ただ、読みたい本が絶版で手に入らないこと、高すぎてとても手元においておける値段で買えないこと、そんなことを解消するためにごく僅かな数を刷って届ける、それだけの出版社があったって良いじゃないか。
 それはいつか、ひとという生き物のまだ短い、いつかは果てなく膨大になる歴史のなかで、確かな糧になるはずだ。だってそれは豊かさで、成熟で、同時にとても個人的でわがままな誰かの世界のことだ。世界はひとつというけれど、本当は違う。人の数だけ世界はあって、本というものは、自分じゃない世界を垣間見るための壮大な装置なのだから。
 だったら。
 伽鹿舎は伽鹿舎の世界を必要な誰かに届けるために、ここに在りたい。
 
 それって双子たちのいう「ワクワクして生きていい」ときっと似ている。
 九州の本屋さんに、ずっと九州で本屋さんを続けて欲しいから、伽鹿が出版する本は九州に配本する。
 欲しいと思ったら九州の本屋さんから買ってくれたらいい。Amazonでとりよせるのと、九州の本屋さんにお願いするの、あるいは九州の友だちに頼んで買ってもらうこと、きっとそんなに違いなんてない。
 
 同じように、全国各地で、そのエリアでしか買えない本が増えたらワクワクするよな、なんてことも思う。
 旅行のついでにあれを買おう、って楽しみだって出来る。いっそ、本を買いに行くついでに、観光したり遊んだりしたって良いのだ。
 
 伽鹿舎は、九州にあるから、九州でそれをやる。
 まずは、このネットの片隅、日本の片隅から。
 きっと、面白いことになる。ワクワクして、本屋にいける。
 
 
 その日、カモシカ書店では、大分の書店員さんたちが集まっていろんな話をしていた。
06-01

 本屋さんに、本屋さんの垣根を越えて集まった人たちが、本屋さんの話を、本の話を楽しそうにしているこの空間が、とても好きだ。
 九州は、ワクワクする本の島になれる。
 
 今日も明日も明後日も。
 この「片隅」から、ワクワクを発信していきます。

06-02