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森の神 夢野久作

qsaku-mori
 森の神様が砂原を旅する人々のために木や竹を生やして、真青に茂りました。その真中に清い泉を湧かして渇いた人々に飲ましてやりました。すると大勢の人がやって来て木の下へ家を立て並べて森のまわりに柵をして、中へ休みに入る人からお金を取りました。水を飲む人からはその上に又お金を取りました。
森の神様はこんな意地の悪い人々を憎んで、森を枯らして泉を涸らしてしまいました。
旅人からお金を取った人々は大層困って「何という意地の悪い神様だろう」と、森の神様を怨みました。
森の神様は言いました。
「私はお前たちのためにこの森をこしらえたのではない。旅人のためにこしらえたのだ」
福岡県福岡市出身の久作を再び取り上げました。
非常に短い物語ですが、そこに溢れ出るような様々なイメージの重なり合いは実に見事としか言いようがありません。
さあ、あなたはこの短い短い物語から、何を受け取るのでしょうか(KJ)

morinokami

底本:「夢野久作全集7」三一書房
1970(昭和45)年1月31日第1版第1刷発行
1992(平成4)年2月29日第1版第12刷発行
初出:「九州日報」
1923(大正12)年11月9日
※底本の解題によれば、初出時の署名は「香倶土三鳥」です。
入力:川山隆
校正:土屋隆
2007年7月21日作成:青空文庫