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向かい風は南風。追い風はビル風。1 たかなしみるく。

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勘違いの種【たかなしみるく × 表参道】
 
1「やっつけ仕事なフレーズ」を「消費」する快楽。
 
「三寒四温」で循環する3月の、まさに「寒」のタイミングがドンピシャに当たった土曜日の事で、更に天気も全体的にぐずついていた日の事。
 
 私は表参道に居た。
 
 表参道なんてそう滅多に来る場所でも無い。自宅の最寄り駅から、表参道の駅まで1時間。JR線に乗って一度東京メトロの半蔵門線に乗り換える。その際に、駅のそこまで大きくも無く、また、小さすぎもしない駅ビルのファッション館をざっと1周する。このビルに入っているファストファッションブランドは、表参道、と言うよりももう少し歩いて明治神宮前まで行けば、簡単に見つかる。態々こんなところを1周する必要無いのだが、如何せんあの街は、人も多く買い物がしづらい。華やかでも無い派遣OL生活で手に入るお金なんてたかが知れているので高い洋服など身につける事は無い。収入のうちのいくらかは実家に入れ、大半は「何時かの為の」貯金に消えて行く。「何時かの為」、それは今の非正規雇用状態で首を切られた時の為の貯金だろう。現実などそんなものだ。それが将来の結婚費用に回るなど、それこそ現実味を帯びない。私が実家に残る理由も、何時首を切られてもお金の心配をしなくていいように、それぐらいだ。それほどに、現実とは寒々しい。
 
 それぐらいなものだから、表参道で買い物をしようと言ったって、鞄から財布は出せない。ただ高いものを見て「これ、セールになって無いから買えないな……」「いや、セールでも買えないか……」と溜息吐く貧しい思いをするのが嫌だった。だからこの駅ビルで丁度いい。人には人の身の丈に合うレベルと言う物があるのだ。
 
 ただ、ただこの日は。
「表参道でクリエイターと合コン」
 と言う、誰がどう見たってやっつけ仕事なフレーズを消化したかった。私が興味を持ったのは、そのフレーズだ。雰囲気だ。ブランドか? そうだ、見出しだ。見出し。どんなにオチがキマらない、或いはどうでもいい結末だと分かっているネットの記事でも、見出しにインパクトさえあれば、ついクリックしてしまう。それと同じだ。「どんなに中身に期待が出来なくても、或いは参加した後に自分が後悔する事が見えていたとしても、見出しの良さには敵わない」し、尚且つこのやっつけ仕事な見出しだけ見て、見たものが勝手に羨んでくれたらそれでよかった。この日本国の首都、東京都、東京都の中でも更に華やぐ街。東京、渋谷、新宿、池袋と言ったJR路線走るターミナル駅には無い華やかさ。地方都市と連結をしていないからこその華やかさ。可愛いとか、かっこいいとか、おいしいとか、おしゃれだとか、老若男女問わずをターゲットとして、メディアがばらばらと本当に適当に無数の形容詞形容動詞を発信する拠点地、表参道。拠点地からそれら「本当に適当な無数の形容詞形容動詞」を「発信する人間」と合コンをするんだ。ほら、羨ましいだろう、すげえだろう、聞こえだけはいいだろう。
 その羨ましさを一挙に引き受け、他の誰よりもきっと早く、表参道の街に繰り出したが、結果、その合コンの果て、私に待ち受けていたのは、私の身の丈にぴったりな寒々しい現実だった事は言うまでもない。
 
 
2 現実なんて予定調和。
 
 午後11時。足元おぼつかぬほど酔っぱらった幹事の奴に、私がコンビニで調達したペットボトルの水を手渡したところから、事態は悪い方向へ展開する。
「きゃぁ!! 冷たい!!
 奴が投げたペットボトルから水が零れ、前を歩くまみちゃんの太股あたりを直撃した。
 
 誰が何を言う隙も無く、私の連れのかなちゃんが激怒する。まみちゃんは、かなちゃんが連れてきた女の子で私の直接の友達ではない。それも当たり所が悪い。激怒しているかなちゃんを横目に、私はまみちゃんにハンカチを差し出す。勿論そんなもので対応し切れないが、「ごめんね! ほんっとごめん!」と私は謝り通すしか出来ない。そしてその傍ら激怒するかなちゃんと、反省する気が有るか無いかも定かではない奴と。当然、幹事の奴は私の友達でもあるわけだ……。
 表参道でこれ以上の修羅場を私は経験したくない。時刻はまだ午後11時。
 私はかなちゃんに、これ以上の激怒は無駄だから、まみちゃんを連れて逃げるように叫んだが、かなちゃんは「いや、こいつに、謝らせますよみるくさんに対しても。みるくさんに謝らない限りこの場離れらんない」の一点張りで、私の叫びを受け入れない。
 かなちゃんの怒りを耳にするたびに、私が情けなくなる。
 私はいても立ってもいられずに、無理矢理タクシーをとめた。
 まず、まみちゃんを乗車させたが、そこで奴の連れの男が1人、一緒にタクシーに乗り込んだ。
「かなちゃん! もうかなちゃんも乗って! もういいから!」
 私は怒り狂うかなちゃんの肩を掴んでその場から引き剥がし、更に財布から適当に1000円札を3枚程取り出し、その手に握らせる。ならば一緒に渋谷までと言われたが、私はそれを断った。そしてそれ以上言葉の出ない私を見た彼女は、私までをその場から引き剥がすことを諦めた。
 私の友達が私の友達を、目の前で傷つけ怒らせている事実を私は受け止めきれなかった。何があったのかは理解できるし、水を投げたほうが悪い、100%悪い。奴に私は加担する気は全くない。かなちゃんが激怒するのも理解するし、私だってここで激怒していいのだ。でも激怒どころではない。もうこのものの10分程度、私はこの場に立っている事でいっぱいだった。此処で私が彼女たちと逃げても、今度は私が苦しい思いをする。彼女達の間に立っていたのは私だから、いくら100%事実関係奴が悪い事を分かっていても、確実に後ろめたさを直感することになる。かなちゃんは、私が既にそこまで感じている事を、悟ったようだった。
「わかった。じゃあ私まみちゃん連れて逃げる。またご飯行こうみるくさん。」
 ──またご飯行こう。 
 かなちゃんが崩れそうな私の眼を見てそう言った。
 そして、彼女はタクシーの後部に乗り込んで、行く先を告げた。
 
 
3 月給5分の1で買ったユナイテッドアローズのコートだって、所詮郊外アウトレットのセール品
 
 私と奴と、奴の事務所の先輩だけが、車の往来の疎らな表参道の交差点に取り残された。街灯と道行く車の明かりが、時折街の一部を映し出す。それでも私は、表参道のどの位置にいるのかわからない。ただでさえ来なれない場所だ。「表参道でクリエイターと合コン」と言う、簡単に消化されてしまうフレーズだけを追い求めて、態々1時間かけてやってきた街だ。1軒目を出た後に2軒目に移動した道筋を、私は把握している訳が無い。
「ちょっともうほんと。どうしよう……」
 私はうなだれて下を向く奴の腕を掴みながら、私は奴の先輩に訴えた。
 先輩には、奴は引き取るので、貴女も彼女ら追っかけたら? と言われたが、それはちょっとないですかねぇ、と簡単に返事をした。まだ急げば自宅まで帰れる時間でもあるが、この場この瞬間で、ひとりぼっちになるのが一番怖かった。何処までも自分が崩れて、崩れ落ちて立てなくなってしまいそうだった。全くもってどうしようもない奴でいいから隣にいて欲しかった。こんな都会のしかも慣れぬ街の真ん中、独りぼっちになる苦しみは味わいたくなかったが、自分の今思っている事を告げても、また先輩に余計に気を遣わせてしまう。気を遣わなくていいです、本当に大丈夫ですと言い張ったところでも、気を遣われざるを得ない立場であるからこそ「いや、どっちみちうちらもう帰れなさげなんで、とりあえずこいつなんとかしないとです」と返事をした。奴のことなんてどうだってよかった。1番なんとかされたがっていたのは私だった。
 奴は私に腕を取り押さえたまま「ごめんなさい。ごめんなさい」と謝りうなだれ続けている。本人は反省しているつもりなのかもわからないが、反省の色は見えないし、もういい加減口を塞いで欲しかった。まだ全然酒が抜け切れていない。そんな奴に謝れれば謝られるだけ、私にはもうこれ以上成す術が無い事を痛感するし、自分の今置かれている状況が、より一層惨めさを増すだけだ。「もういいようるさいよ黙ってよ。」とに私が発する言葉もまた、効力を失っていた。私の言葉も重さと響きを失い、ただ宙を空回りするのみだ。
「みるくさん、落ち着けないと思いますけど、ちょっと、落ち着きましょう。煙草、吸っていいですか?」先輩が空回りを続ける私に一声かける。あっ。と我に返って、「どうぞ吸ってください」と返事をした。「みるくさんは、いいんですか?」と聞かれたので、「今は大丈夫です」と答えた。奴も謝り疲れたようで、次第に言葉を発しなくなっていた。此処にほったらかしにしても良いのだが、私の腕は奴の腕を離すことが出来なかった。
 向こうから聞こえるのは、同じく男女のグループの叫ぶ声と笑い声。通りの向こう側の様子までよく見えないが、この街で遊び慣れている集団である事は察知できる。このまま3軒目のお店で飲み明かすのか、カラオケか、クラブでオールか……。
 
 自分の身の程の低さを知る。似合わない服は着るべきではない。背丈にあった幸せと言う物が私には存在する事を忘れていた。こんな場所に来なければよかった。こんな慣れない事、しなければよかった。勝手に憧れて勝手に妄想だけをして勝手に勘違いをして妄想から弾き出されて、シナリオ通りの結末を見る。ただ曇った夜空を眺めて溜息を吐いていた。少し頭の中の物が外に抜け、同じく溜息交じりに煙を吐き出す先輩の姿が目に入った時に、2軒目のお金を先輩に払いそびれていた事をはっと思い出した。「こんな時すみません。さっきのお金、3人分纏めて払います。いくら出せば……」
「あ、ああじゃあ、3人纏めて3000円でいいよ」
 私はまた財布から3000円抜いて、今度は先輩に手渡す。先輩は左手で受け取って、ひとまずコートにそれを押し込んだ。そしてまた、右手で残りの煙草を口元に寄せた。
 
 
4 白い水槽、青いサカナ
 
 私が2軒目で飲んでいたバーは、先輩の行きつけのお店だったようだった。表参道の路地をどっかに入って、階段を潜って地下に抜ける。カウンター席が6~7席程度でテーブル席が6席ほど、私達が座ったのがソファー席でそれもまた、6席。ソファー席があるバーになんて生まれて初めて来た。慣れない事のオンパレードで、恐らく私も随分緊張していたし、こんな不釣り合いな合コンの2軒目で来るようなお店ではなかったのは確かだった。店の何処を見渡してもメニューがない。何を頼んでいいのかわからず、「どうする?」と言われて咄嗟に出てきたお酒がモヒートだった。第一モヒートに関する知識など「あの蝙蝠の缶のやつで、ライムとミントの味がする、あれ」ぐらいなものだ。ライムのお酒はまだ飲める。「好きなカクテルは?」と聞かれれば、とりあえず「モヒート」と答えるが、答えは消去法で選んでいるだけだ。甘すぎるカクテルは嫌いなので、カクテルの中で他飲めるものと言えば、私の頭の中にはこれ位しかない。注文をお願いして、化粧室に立つ。戻ってきたときに目に着いたのは、私の座っていた席のあたりに氷が飛び散っていた事だった。どうせ奴がやったんだろうと思っていた。その時点でもう、私はお酒の味等気にして飲む余裕も欠けていたから、飲めるものをとりあえずオーダーしておこうと思うに過ぎず、正直味に期待も無かった。
 
「あれ。これ、おいしい」
 期待などしていなかった舌の上に、残る苦い爽快感。よく見るとグラス一杯にミントの葉がゆらりゆらいでいる。これだけミントが入っていれば、味も残る事は間違いない。グラスにゆれるミントが水草のようだなと思った最中だ。
「あ、水槽! サカナがいるよ。すごーい」
 かなちゃんが席を立ち、入口近くの熱帯魚の水槽のところに移動した。
「水槽、青いしサカナも青いー。綺麗ー!」
 私も自分の位置から、濃いミントのモヒートを啜りながら、青色LEDライトで照らされた水槽に眼をやった。実に人工的な美しさだった。水の中も、コンクリートの中も同じで、過度な光で深夜に照らされている。「青いサカナ?」と思い、目を細くして水槽の中をよくよくと見ると、サカナ本体のカラダは青くなんかない。青いのはライトだけで、サカナのカラダの色は白だった。
 本当の色が、他の周りの濃い色に撹拌されている。見るものは、本当の色など見えてやしない。勘違いをされている。本当は白いカラダなのに、青で綺麗だと勘違いされている。
 見ていて何だか胸がちょっと苦しくなった。
 

 
 すぅーーと肩を上げて息を吸い込み、はぁーーーと肩を降ろしながらあからさまな溜息をつく。空気はお腹を通過せず、浅く喉のあたりから漏れて出て行く。いつものように首を左に傾けて、目線は斜め上、表参道の空をぼんやりと眺める。こう言う時は如何いう気持ちでいる事が正しいのだろうか。私は誰に何と言えばいいのだろうか。誰に何と言っても返ってくる返事の予測はついている。かなちゃんに謝れば「みるくさんは悪くない」と言ってまた今度は私が怒られるのだろうし、奴の心は閉ざされかかっていて最早言葉を掛ける気もない。然し、私はぼろぼろになってもなお捨てられぬぬいぐるみのように、奴の腕をぞんざいにつかみっぱなしだった。何度か「離してくれ」と言われた気もするが、そんな奴のエゴには付き合っていられない。妙に奴の身体は、私は今直視している現実と私の散乱している心を繋ぐ役割をしていた。私は私の為に、奴の身体を離せなかった。
 煙草を吸い終わった先輩が、「あっちにファミレスあるっぽいから、とりあえず歩きましょうか」と、私に声を掛けた。「そうですね」と先輩の歩みに合わせて、私は一歩道を踏み出す。奴を右腕に引きずったまま。現実を直視するために。
 
「あの、今日ごちそうになったモヒート、おいしかったです。」
 何を言おうか、何を切り出そうか迷った挙句、私は左手前を1歩弱先を歩く先輩に、そう言った。別に変に謝りもせず、妙に慌てる心を抑えつつ、ただただあのモヒートの味が忘れられない事を告げた。私は歩きながら、現実に感じた事を率直に述べた。
「そう。そっか。普段お酒飲むんです?」
「いえ。こう見えて弱いんで1人じゃ飲まないです。飲み友達もこいつ位しかいないし」
 うっかりと余計な事を言ってしまった。今右腕に奴を引き連れた状態の時点で、更に自分から奴の話題を振ってしまった。そういう事が言いたい訳じゃない。それでもこいつを媒介にしないと、先輩との会話を繋ぐネタにも困ってしまう。
「じゃあ~今度は2人で飲みに行きましょうか」
 先輩は意外に、そんな返事をしてくれた。
「そうですね。この場を今もこいつと戦ってる、戦友としてですね」
 私はそう返事をした。余り可愛い返事ではない事は自覚している。
 
 
5 勘違いの種
 
 その一夜以来、奴からも、奴の先輩からも私の携帯には連絡が来ない。
 かなちゃんとは1度会って一緒に飲んだ。かなちゃんとまみちゃん自身は、もうこの事は人生のネタのうちの1つに位しか捕えていないと、ハイボールを片手に笑っていた。「もう2度と会いたくないけどね」と言う言葉と共に。「御尤もな意見です」と、私は手元にあった煙草の箱をスライドさせて、中身を1本取り出した。かなちゃんの顔を見ると、なお一層、余計に2軒目のバーで見た水槽を思い出す。暗い店内の中で一層目立つ水槽の中に泳ぐサカナ。白いサカナ。きらびやかな尚且つこんなに窮屈な東京の中心部の地下で泳ぐサカナ。それを眺めながら啜った濃いミントのモヒートと、一時を共にした、戦友と、自らの勘違いに傷つく私と。
 

 
 そして、事のあった日から2週間後、私は私用で表参道に向かった。
 それは晴れた日曜日の午後お昼過ぎの事で、私は全くの1人で渋谷方面に向かって歩いた。人通りも多かったが、但し1人で歩いている人の数は少なかった。あの日とは打って変わった景色を目の当たりにした。冬物のコートとマフラー無しに歩けなかった気温から、ブラウスにテーラードジャケットと言う身軽さで街に出かけられる天気。ガラス張りのブランドショップが並ぶ通りとは真逆で、見える建物は青山学院大学と国連の施設。歩く人の雰囲気も、大学がある事からか、自分よりも若い人がちょっと多いようにも思える。用件を済ませた後に、当時の現場検証を兼ねて表参道を散策してみた。1軒目は今いる通りと逆側で、そうだ、移動するときにこの横断歩道で、かなちゃんにマフラーを貸した気がする。ただ、大体自分が歩いた位置関係は把握できても、肝心の2軒目のお店の場所がわからない。泥酔した奴に与えた、悲劇を起こした水を買ったコンビニの場所はわかった。だけれども、私はどの路地の中に入って、どの路地から出てきたのだろう。あの、青いカラダだと勘違いされた白いサカナと濃いミントのモヒートの記憶は、最早私の憧れを反映しすぎた勘違いでしかなかったのだろうか。もう一度あのお店に前に行ってみたい、でも、これ以上躍起になって探し当てたところで、私に何が残るのだろう。あの時、一瞬にして憧れを消費した愚かさと、全て思い通りに行かず、シナリオ通りだと予定通り裏切られた辛さを、リマインドしてまた私は落ち込むだけなのではなかろうか……。
 
「もういいや」
 私は駅前の喫煙所に向かって歩いた。歩きながら鞄からシガレットケースを取り出し、公衆灰皿の前に着くや否や、1本取り出し、ライターで着火する。また、あの溜息と同じ様な音を立てて、はぁーーーと肩を降ろしながら下唇を少し前にずらして、真っ直ぐに煙を吐き出す。そして、いつものように首を左に傾けて、目線は斜め上、表参道の空をぼんやりと眺める。
 もうあの時の事はあんまり考えないようにしよう。考えても記憶に頼りきって記憶を自己満足の範囲で美化させて、自分の気持ちを前に進ませることへの妨げになるんだ。頭では、そう理解している。しかし、
「でも、やっぱあのモヒートおいしかったな」
 その一言と同時にフラッシュバックする、カラダの色を勘違いされた白いサカナと、青い光の水槽が、私の心に釘をさす。
 私も誰かの何かを勘違いして、同じように誰かに何かを勘違いされ、そして自分で自分を勘違いしている事。
「私にあのモヒートは不釣り合いだったんだ」と勘違いをするか、「意外と私でもあんなおいしいモヒート飲める機会あるんだ」と勘違いをするか。
 

 
 この街には、どうやら勘違いの種が多く眠っている様だ。
 灰皿に吸殻を落として、携帯を取り出す。
「お久しぶりです、たかなしみるくです。お忙しいところ申し訳ないんですけど、今夜、会えませんか? 表参道で」
 そんなメール1本打てるようになるまで、あとどれぐらい時間がかかるだろうか。
 
以上
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たかなしみるく。

「感情の墓場を、詩と呼ぼう。」: note( http://note.mu/001203mm )、深呼吸する言葉( http://d.hatena.ne.jp/xxmilk69xx )
得意技は モテない・拗らせ・考えすぎの三拍子 エッセイ。